皆さん, ユニットテスト書いてますか.

TDD (テスト駆動開発) によるプログラミングは本当に楽しいものですが, コマンドをいちいち手動で実行するのは面倒ですよね.
テストを自動化しているんだから, その実行も自動化したいですよね.

この記事では, 私が仕事や趣味で使っている PHPUnit を例に, テストの実行の自動化について紹介します.
PHPUnit の, としてはいますが, 他の言語で使えるテクニックもあります.

なお, ここでの自動化は開発しながらの自動実行のことで, CI (継続的インテグレーション) の話は出てきません.

その前に…

私の開発時のターミナルは以下のようになっています.

開発時のターミナル

開発時のターミナル

GNU screen での画面分割を利用して, 左半分をソースコードに, 右上をテストコードに, 右下をテストの実行に使っています.
これは作業の途中でいろいろと変動しますが, 右下ではほぼ常にテストが自動実行されるようになっています.
(ターミナルの透明化を利用してバックグラウンドでニコ動を観ることもできますね)

この小さい画面での実行を前提に, 紹介していきます.

シェルスクリプトを利用する

まずはとにかく, 決められたコマンドを定期的に実行しましょう.

コマンドを定期的に実行, というと watch コマンドを思い浮かべる人が多いと思いますが, これは使いません.
何故か, ターミナル上の色が無効化されてしまい, レッドやグリーンがわかりづらいからです.

色の使える watch は無いか, と探した所, superuser という Q&A サイトにちょうどいいものがありました.
bash watch command with colors preserved

ここへの書き込みを参考に, 以下のようなシェルスクリプトを用意しました.

適当な場所に保存して, chmod +x して実行権限を与えたら, 以下のように使用することができます.

$ ./watch2 phpunit --colors

これで, 出力の色づけを維持したまま, PHPUnit を 2 秒間のインターバルで起動し続けることができるようになりました.

プロジェクトの規模によっては全てのテストを実行するのに時間がかかることもあるので, そういうときは特定のファイルを指定しましょう.

$ ./watch2 phpunit --colors tests/Foo/BarTest.php

今自分が作業しているファイルだけを指定することで, フィードバックを素早く的確に得られるようになります.
コマンドの指定は手動ですが, 環境の用意はとても楽なのでよしとしましょう.

Stagehand_TestRunner を利用する

Stagehand_TestRunner は, PHPUnit だけでなく Lime や PHPSpec にも対応したテストランナーです.
(2011-08-16 14:00 追記: Lime への対応は勘違いでした. @heavenshell さんご指摘ありがとうございました.)

インストールについては本家の Wiki を参照しましょう.
テスト駆動開発のためのテストランナー

PHPUnit 本家よりも優れた表示が特徴です.

Stagehand_TestRunner による実行結果

Stagehand_TestRunner による実行結果

この出力形式は testdox と呼ばれるもので, テストメソッド名を英文っぽく表示してくれます.
testdox を表示する機能自体は PHPUnit にもあります (--testdox オプション) が, Stagehand_TestRunner を使うと色づけされるので, よりわかりやすくなります.

Stagehand_TestRunner には他にも様々な機能がありますが, ここで紹介するのはディレクトリの監視によるテストの自動実行です.

これを phpunit.xml として保存して, 同じディレクトリ上で以下のコマンドを実行します.

$ phpunitrunner --phpunit-config=phpunit.xml -cRa

c が色づけ, R が指定ディレクトリ (phpunit.xml で指定していますね) 以下を再帰的に, a が自動実行のためのオプションです.

これで, ディレクトリに変更のあったときだけテストが実行されるようになりました.

実行対象のテストを正規表現で絞り込んだりすることもできますが, それらの詳細については以下の Wiki が参考になります.
Stagehand_TestRunner ユーザーガイド

watchr を利用する

最後に紹介するのは, 最近一番よく使っている方法です.
watchr はファイルの変更を監視するツールで, 検出時にあらゆる処理をフックさせることができます.

watchr は Ruby 製のツールなので, 処理は Ruby で書く必要があります.
といっても, 簡単な正規表現が書ければ充分なので, Ruby 未経験でも問題無いでしょう.

インストールについては Rubygems をインストールして gem install watchr するだけです.

watchr の設定ファイルとして, 以下のようなものを用意します.

これは src ディレクトリのソースコードの変更時に対応するテストを実行すること, テストコードの変更時にはそのファイル自身のテストを実行すること, を設定しています.

そして以下のようなコマンドを実行することで, 監視状態に入ります.

$ watchr phpunitrunner.watchr

前提として, ソースコードが src/Foo.php であればテストコードは tests/FooTest.php というように, 命名規則にそったファイル名になっていることが必要です.

変更のあったときにだけ, そのファイルだけテストが実行されるので, 素早く確実にフィードバックを得ることができます.

また, Ctrl + \ を押すことで, 全てのテストを実行することもできます.

注意としては, 監視対象のファイルの読み込みが watchr の起動時なので, 例えば途中で新規に追加したファイルは監視対象に入っていないことです.
ある程度開発が進んで, 作業のメインが既存ファイルの編集になったときに, より高い効果を発揮するでしょう.

まとめ

テストだけでなく, その実行まで自動化することで開発にリズムが生まれ, フロー状態に入りやすくなります.
開発効率を上げ, 楽しい TDD ライフを送りましょう.

その他, オススメのツールややり方などありましたら, 是非 @yuya_takeyama まで教えてください.

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前回のおさらい

前回『#02 テストを書いてみる編』では、「とりあえず、とにかく、テストを書き、PHPUnit で実行すること」という目標のもと、簡単なテストコードの書き方を学びました。

今回の目標

テストコードを拡張しながら、仕様変更に対応する。また、リファクタリングする。

仕様変更

前回は、引数に 2 つの数字を引数に受け取り、その合計値を返すだけの add メソッドを作成しました。

今回は、数字が 2 の場合だけでなく、数字が 3 つの場合も、同じように合計値を返す必要が出てきたと仮定し、話を進めます。

テストコードを拡張する

add メソッドの他に addThreeNumbers メソッドを作ることもできますが、これでは足し算をする際に、数値が 2 つなのか 3 つなのかを意識しないといけないので、ナンセンスです。どちらの場合も add メソッドで処理できるようにしましょう。

前回はは「実際のコード」 -> 「テストコード」という順序でしたが、今度は「テストコード」を先に書いてみます。つまり、「テストファースト」です。

testAddThreeNumbers メソッドを追加しました。

ここで一旦話はそれますが、テストメソッドの名前を test~ とするのは、PHPUnit のルールです。test~ という名前のメソッドだけが、テストとして実行されます。 一応、その他にもテストとして実行させるためのルールはありますが、とりあえず置いておきます。

もし、テストケースの中だけで使うサブルーチン的メソッドが必要であれば、test~ とは違う名前をつければ、そのメソッドはテストとして実行されることはありません。

それでは話を元に戻し、このままテストを実行しましょう。

$ phpunit CalcTest.php
PHPUnit 3.4.15 by Sebastian Bergmann.

.F

Time: 0 seconds, Memory: 4.75Mb

There was 1 failure:

1) CalcTest::testAddThreeNumbers
Failed asserting that <integer:2> matches expected <integer:3>.

/path/to/CalcTest.php:16

FAILURES!
Tests: 2, Assertions: 2, Failures: 1.

当然失敗します。Calc オブジェクトの add メソッドはまだ、2 つの数値の足し算にしか対応していません。

一見無駄なように見えますが、この「初めに失敗する」というプロセスも、テスト駆動開発 (Test Driven Development; TDD) においては重要です。そもそものテストコードが間違っていた場合、「常に成功する」という状態になっていることもあり得るからです。

「初めは失敗するが、コードを正しく実装することにより初めて成功する」というプロセスを踏むことによって、より堅実に TDD を行うことができるのです。

コードを育てる

それでは、追加された仕様、そしてテストコードに対応すべく、実際のコードを育ててみましょう。前回のコードは以下のようになっていました。

これを、以下のように書き換えます。

条件分岐により、第 3 引数がセットされていた場合の処理を追加しています。

ここで再びテストを実行します。

$ phpunit CalcTest.php
PHPUnit 3.4.15 by Sebastian Bergmann.

..

Time: 0 seconds, Memory: 4.75Mb

OK (2 tests, 2 assertions)

見事成功しました !

この成功は、今回の「3 つの数値の合計値を返す」が達成できただけではなく、前回作った「2 つの数値の合計値を返す」をも損なうこと無く、コードを育てることができたことを意味します。

テストコードにおける共通処理を一元化する

仕様変更への対応が終わったので、今できているテストコードを振り返ってみましょう。

この記事の冒頭で、testAddThreeNumbers メソッドを作りましたが、「Calc オブジェクト生成」のための記述が、testAdd メソッドと重複していることがわかります。

このような共通処理は、setUp メソッドにより一元化させることができます。

このように、Calc オブジェクトの生成を一元化することで、各テストメソッドで同じことを繰り返す必要がなくなりました。これは DRY (Don’t Repeat Yourself; 同じことを繰り返さない) の原則に合致していると言えるでしょう。

この例のような短いコードにおいては、コードの絶対量が増えてしまっていますが、実際の開発において、テストコードはどんどん増えていくものですから、特に理由の無い限りは、setUp メソッドを使って共通化させましょう。

なお、setUp メソッドは、それぞれのテストメソッドが実行される前に、フックされる形で実行されます。なので、testAdd メソッドの $this->calc と、testAddThreeNumbers の $this->calc は、オブジェクトとしては別物ということに注意しましょう。

リファクタリング

さて、今度は実際のコードを振り返ってみましょう。

今回の改修では、if の条件分岐により、引数が 2 つでも 3 つでも合計値を返すよう、処理しています。

しかし今後、4 つの数値を合計も返さないといけなくなってしまったら、どうしましょう。一番簡単なのは、コピペ的に else if で分岐していき、引数が 4 つの場合も同じように処理することです。

しかし、それがまた、5 つ 6 つと増えて行ったら・・・。

この問題を解決するには、add メソッドの処理を根本的に書き換えなくてはなりません。今後のためとはいえ、今動いているものが壊れてしまうかもしれない、というリスクを犯してまで、リファクタリングする必要があるのでしょうか。

この場合、TDD であれば、リファクタリングを取ります。リファクタリングがある程度のリスクを抱える行為だとしても、それを安全に行うことができるのであれば、そして、放置する方が将来より大きなリスクとなることがわかっているのであれば、どちらを選ぶべきかは自明です。

では、今度は、引数がいくつだろうと処理できるよう、add メソッドをリファクタリングしてみましょう。

さっきと同じく、先にテストコードから書きます。

testAddTenNumbers メソッドを書いて、引数が 10 個の場合のテストを追加しました。これを実行すると、やはり失敗します。

$ phpunit CalcTest.php
PHPUnit 3.4.15 by Sebastian Bergmann.

..F

Time: 0 seconds, Memory: 5.00Mb

There was 1 failure:

1) CalcTest::testAddTenNumbers
Failed asserting that <integer:6> matches expected <integer:55>.

/path/to/CalcTest.php:26

FAILURES!
Tests: 3, Assertions: 3, Failures: 1.

今度は、このテストが成功するよう、実際のコードをリファクタリングします。

func_get_arg() を使って、可変引数に対応できるよう、リファクタリングを行いました。再びテストを実行します。

$ phpunit  CalcTest.php
PHPUnit 3.4.15 by Sebastian Bergmann.

...

Time: 0 seconds, Memory: 5.00Mb

OK (3 tests, 3 assertions)

見事成功しました !

元のコードを根本的に書き換えていますが、数値が 2 つ、もしくは 3 つの場合の動作も壊すこと無く、引数がいくつ来ても合計値を返すことができるようになりました。

まとめ

今回は、以下のことを学びました。

  • 「テストコードを書く」 -> 「テスト実行 (失敗)」 -> 「実際のコードを書く」 -> 「テスト実行 (成功)」
    というサイクルにより、着実にコードを育て、リファクタリングすることができる。
  • まず「失敗する」ことを確認してから実装を行うことで、テストコード自体のミスを防ぐことができる。
  • テストケースにおいて、テストメソッドは test~ と命名する必要がある。
  • setUp メソッドを使うことで、テスト中の共通処理を一元化することができる。

今回は、前回一旦無視した「テストファースト」というスタイルにのっとり、解説を行いました。

ですが、実際の開発においては、より大きなプログラムを扱うこととなるため、クラス設計がしっかりできる人で無い限り、「テストファースト」の実践は難しいでしょう。

しかし、TDD を実践し続けることで、クラス設計のセンスも向上する、とも言われています。次回はその辺りの、TDD がもたらす副産物について話を進めて行きます。

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目的

とりあえず、とにかく、テストを書き、PHPUnit で実行すること。

想定される読者

  • PHP5 の基本的な文法を理解している
  • テスト駆動開発 (Test Driven Development; TDD) という言葉は知っているが、やってみたことは無い
  • PHPUnit 3.4 以降をインストールしている

TDD を知らない、PHPUnit をまだインストールしていない、という方は前回の記事『#01 インストール編』をご覧ください。

逆に、上記項目より上を行く方にとっては、特に参考になることは無いかもしれません。

テストされるコード

初めに、実際にプログラム上で使われるコードを用意します。

TDD の世界には「テストファースト」という言葉があります。それは、「実際のコードよりもテストコードを先に書く」というスタイルを表していますが、ここではそういった細かいことは気にせず話を進めます。

2 つの引数を足し算するだけの簡単なメソッドを持った、非常にシンプルなクラスです。

テストするコード

以下のようなコードを用意します。

これが、PHPUnit でテストを書く際の最小単位である、テストケースです。

注目すべきは、testAdd メソッドの中身です。これは、assertEquals というメソッドが、「$calc オブジェクトの add メソッドに、引数として 1 と 1 を渡せば、2 になるよね」といったことを確かめるためのコードです。

その他の部分は、PHPUnit でテストケースを書くためのおまじないみたいなものです。細かいルールについては次回以降、徐々に説明するとして、とりあえず次に進みます。

テストを実行する

ターミナル上で以下のコマンドを実行します。

$ phpunit CalcTest.php
PHPUnit 3.4.15 by Sebastian Bergmann.

.

Time: 1 second, Memory: 4.75Mb

OK (1 test, 1 assertion)

最後の行の「OK」は、このテストが成功し、コード (Calc.php) が正確に実装されていることを示しています。また、1 つのテスト (1 test) と 1 つのアサーション (1 assertion) が実行された、ということも示されています。

もし add メソッドに間違いがあった場合は、PHPUnit の実行結果は以下のようになります。

$ phpunit CalcTest.php
PHPUnit 3.4.15 by Sebastian Bergmann.

F

Time: 0 seconds, Memory: 4.75Mb

There was 1 failure:

1) CalcTest::testAdd
Failed asserting that <integer:1> matches expected <integer:2>.

/path/to/CalcTest.php:10

FAILURES!
Tests: 1, Assertions: 1, Failures: 1.

これは、add メソッドが 2 を返すはずなのに、実際は 1 が返ってきてしまったために、テストが失敗してしまったことを示しています。

このような場合は、テストが成功するまでコードを修正しましょう。

アサーションとは

アサーションとは、変数の値や、メソッドの返り値をチェックすることです。さっきのテストケースでいえば、assertEquals メソッドがそれを行っています。

ざっくり言ってしまえば、前回からの繰り返しになりますが、「このメソッドにこの引数を与えると、この値が返ってくるよね」といったことをチェックすること、と言えるでしょう。

アサーションには多くの種類があり、例を挙げれば、

  • assertEquals()
    2 つの値が等しいか
  • assertTrue()
    値が true であるか
  • assertFalse()
    値が false であるか
  • assertType()
    値の型が正しいか

などなど、たくさんあります。

ですが、とりあえずは assertEquals と assertTrue だけ使えれば大抵のことは何とかなるので、他は必要に応じて調べながら覚えていけばよいでしょう。

まとめ

今回は、テストを書くこと、そして実行すること、に的を絞って解説しました。

次回は、テストコードを拡張させながら、PHPUnit でテストを書く際のルールについて、もう少し踏み込んでいこうとおもいます。

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